かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

NIHパブリックアクセス方針、ここ最近の動向まとめ:OAJ、CA-R、情報管理Webで振り返るパブリックアクセス義務化を巡る攻防


いよいよオープンアクセスデイまで残すところあとちょっととなりました。
つい最近のSpringerによるBioMed Central買収がいっきに話題をかっさらって言った感はありますが、やはり2007年〜2008年にかけてのオープンアクセス関連の話題で最も注目が集まっていたのはアメリカ・NIH(国立衛生研究所)のパブリックアクセス義務化を巡る攻防(絶賛継続中)でしょう。
10/14のSPARC-JapanセミナーでNIHパブリックアクセス方針については永井さんからお話もあるとのことですが*1、予習も兼ねてここはひとつOpen Access Japanカレントアウェアネスポータル情報管理Webの3つのソースを頼りに、パブリックアクセス義務化を巡る攻防について振り返ってみたいと思います。
・・・べ、別に再来週くらいにあたる課題でNIHのパブリックアクセス方針について扱うことになったはいいものの自分のはてブ見ても数が多すぎて何がなんだかわかんないから再整理しようと思ったわけじゃないんだからっ。
勘違いしないでよねっ!*2


ちなみにNIHと言うのは生物・医学関係の研究助成をとんでもない額出している米国政府機関で、その助成による研究成果は年間6万件を超えるとかなんとか。
パブリックアクセス方針と言うのはそこの助成金をもらってやった研究成果(論文等)についてはNIHが運営しているPubMed Centralというアーカイブに登録してください、と言う方針で、以前はお願いであって義務じゃなかったのが新しく通った法案を受けて出版から12カ月以内の登録が義務化されたよ、と言うのがここ最近の話。
2006年以前の話については以下のソース等を参照。

2006年以前の話(もちろん探せばまだまだ出てくるけどきりがないのでとりあえずこれだけ)

以下、2007年以降、法案成立〜対抗法案(HR6845登場)まで。
なおまだはてブを本格的に使ってなかった2007年前半についてはそうとう漏れがあるかと思いますが、請御容赦。




NIHパブリックアクセス方針義務化を巡る攻防まとめ

2007年以降、法案可決まで

2008.1



法案可決後の関係各者の対応

その他



・・・疲れた・・・
OAJ、CA-R、情報管理Webの3情報源でこれだけ追えたおかげで助かったけど、御三方がなかったら絶対追い切れないぞこんなニュースの嵐。
ちなみに自分用のメモも兼ねているので抜けを見つけたら随時更新するかも知れません。
その際は下に注記足します。


ざっと見、「ブッシュ大統領の拒否権発動で法案こける⇒修正予算案に混ざって再登場、可決」のあたりの唐突さがリアルタイムでニュース見てても相当混乱したけど、今見返してもかなり混乱しそう。
あとHR6845がそれまであんまり話題に上ってなかったのにいきなり9月になって出てきてかなり焦った。
9.11にどんかぶせってどんだけ本気でパブリックアクセス方針潰しにかかってきやがってるんだ・・・まあそりゃあ潰しにかかるか・・・


ちなみにNIH方針について熱く取りざたされていますが、同様に研究助成機関が助成を受けた研究についてOA化を認める動きは世界各国にあり、ROARMAP(Registry of Open Access Repository Material Archiving Policies)によると義務化実施済みは現在世界で27機関(研究費助成機関の場合。他にハーバード大同様の、著者所属機関側による義務化は22、部局単位4、計53)とのこと*3
27の内訳はオーストラリア2、ベルギー1、カナダ4、EU2、フランス1、アイルランド2、スイス1、イギリス13、アメリカ2とのこと。
・・・あれ? 28ないか??
どっか重ねて数えるのかな、はて・・・


そしてご覧のとおり日本はないです。
日本は今のところ義務化のところがROARには登録されていない、っていうか義務化されている機関はなかったような・・・
もっともアメリカも意外に少ないので、むしろイギリスがなんだこれって感じな気もする。


機会があれば世界のOA義務化状況についてもまとめたいところだけども、今回はとりあえず力尽きたのでこれまで。
これで予習はばっちりってことで、10/14のSPARC-Japanセミナーの永井さんの講演に臨めますねっ。
・・・いや、これ全部読んで臨むとかめちゃめちゃハードル高いけどね・・・