かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

司書になろうと思うとき/司書になれるかわからない


mixiの司書コミュで「いつ頃司書になろうと思いましたか」トピが盛り上がっているのを見て思った話。
本が好きで、とか、図書委員やってて、みたいな感じで元から本好きだったり図書館好きだったりする人が多いのは当然として・・・それだけでなく、身近にいい司書さんがいたから、みたいな人もちらほらいる。
やっぱ人との出会いは重要ってことか。


かくいうmin2-flyもまあ、司書資格をとろうと思ったきっかけは人との出会いなんだけど・・・あれは一種の誤爆だからな(苦笑)
中学生当時、仲の良かった先生(オタで毒舌で話芸巧みな美術教員)が相当な本好きで、min2-flyも色々貸してもらったりいらなくなった奴をもらったりしてたんだが*1、その先生が司書資格を持っていた。
で、その先生に憧れたmin2-flyはいつか司書の資格を取ることを固く決意したのであるが・・・そこには思わぬ落とし穴が!


「司書になる」って決めた段階で司書が図書館員の資格だって知らなかったんだよね(爆)
中学校の美術の先生が持ってる資格が、まさかここまで潰しの効かないもんであるとは思わなんだ。


そんな誤爆の結果として司書資格を取るために図書館情報専門学群などという奇態なところへ通いはじめた男は、案の上と言うか憧れの先生と同じく「司書資格はとるけど図書館では働かない」という選択肢を歩むことになるのであった・・・人生とはまっこと奇妙なものよ。


まあそんな戯言はさておき。
「人との出会いがきっかけ」で司書になることを決めた場合、当然だけど多くの人が目指すのは公共図書館*2か学校司書あるいは司書教諭、ってことになる。
大学図書館員に触れ合う機会って大学に入るまでないからね。
専門図書館員に至っては生涯触れ合わない人も多かろうし。


そのせいなのかは知らないが、図書館情報専門学群においても今もって公共図書館員は人気の進路希望のひとつである*3
希望の多さに対して需要が少ない問題があって、希望者がみななれるわけではない。
だから、公共図書館に、非常勤や派遣でなく正規職員として勤められる人はうちの学群の卒業生としては割と勝ち組に位置することになる。
一般公務員としてでなく司書職制度があるところに勤められたら(専門図書館員や恒久的に図書館にいられる大学図書館員と並んで)完全に勝ち組だろう。


しかし最近授業で聞いたところによると、イギリスの図書館学校では事情が違うらしい。
向こうでは図書館学校卒業生の公共図書館離れが大きな問題の一つになっているという。
卒業生の多くが「えー、公共図書館? 将来性も創造性もないし賃金安くね? 今は企業だよ企業」みたいな感じで、公共図書館への就職を希望しなくなっているのだとか。
特に成績優秀者は企業や大学図書館専門図書館(その2つは将来性も創造性も認められているのな)に流れてしまって、公共図書館にはあんまり来なくなっているとのこと*4


で、その話をしたときに先生がうち(図書館情報専門学群)の進路希望との違いに触れ、イギリスと日本で違いが出る理由として公務員に対する意識の違い(イギリスだと公務員=安定の図式はあまりない)なんかと合わせて、日本で図書館情報学教育を受ける人になんか特定の傾向があるんじゃないか、みたいなことも言っていたが。
その傾向のひとつは、前述したような「人との出会い」とかなんじゃないかね。
まあ人に限らないか、とにかく身近な図書館や図書館員に触れ合って、自分もそういうところで、そういう風に働きたい・・・と思った人が図書館情報学教育受けに入ってくるんだから、そりゃ特定の傾向が生まれるのは当然だろうなー、と。
真面目な人多いしね。
どうも俺の周囲は俺も含めてちゃらんぽらんな奴が多い気もするが。


まあ確かにイギリスの話に比べると覇気というか、上昇志向みたいなものには欠ける気もするが・・・そこら辺の折り合いをどうつけるか、ってあたりが先生方としては難問なのかもねー。
需要に対する供給バランス崩すほどに皆が上昇志向で図書館に見向きもしなくなるのも困るだろうが*5、さりとて実際には図書館に就職できない人が大半なわけで。
そうなると覇気がない=がつがつしてなくて、就職活動についても他大どころが他学群に比べてものんびりしてるのは、先生方的にはハラハラものなんだろうな。
情報処理主専攻(技術者系)だとまた話は別なんだろうが。


「図書館が好きだからそこで働きたいんです!」って言ってくれる人が多いのは、図書館界自体にとっては非常に嬉しいことなんだろうけどね。
それだけの椅子が用意できないことと、椅子取りに負けた人の進路がどうなるかが悩みの種か。
まあどこも大変だよなー。


・・・他人事じゃないけどな、研究者のポストだって足りないのは一緒なんだから・・・(汗)
まあこっちは就職の話がまだまだ先である分だけ余裕はあるのだが。
院に受からないと元も子もないが(汗)

*1:ちなみに今でも持ってる。麻城ゆうの「月光界秘譚」(シリーズものの方)の1巻

*2:正確な定義だと司書資格を持って公共図書館で働いている人のみが「司書」なんであって、その他の図書館員や資格保有してるだけの人は司書とは呼ばないはずなんだけどな

*3:最近は企業就職とか進学も多いけどね

*4:もっとも、「その主張は嘘だ! 卒業生の多くは公共図書館に行っている!」という意見もあるので、感覚的な話なのかも知れないが

*5:仮にも元・図書館員学校だしな