「とてつもない日本」
- 作者: 麻生太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/06/10
- メディア: 新書
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2chえとせとらで大人気、吉田茂の孫にして現外務大臣・麻生太郎による新書。
某所でかなり好評価されているのを見て買ってしまった。
数日の間市内の書店から姿を消していたから、もしかしなくてもこの本、大人気なのやも知れぬ。
読んだ感想としては、「刀語」の中で、ヒロインのとがめについて敵役である否定姫*1が「とがめの恐ろしいところは状況を一切否定しないで受け入れることだ」と評していたのを思い出した*2。
麻生の考えもこれに通じるものがあるというか、基本的にはそのまんまだと思う。
なにせ末尾近くの、まとめに入る時のセリフがこうだ。
柄にもなく、美辞を弄しすぎたかもしれない。日本人が過度に肩に力を入れる必要はない。明日からできることは、今日までやってきたことと、少しの違いもない。
本の締めが「今のままでいいんやで」って、どんだけだ。
別に改革とかを全否定してるわけじゃなくて、靖国問題なんかについては割とずばずばと意見を述べてたりもするんだが、それもとにかく現状否定から入らない。
「この問題を放置していたら日本は駄目になる!」とは、絶対に言わない。
とりあえず肯定する。
肯定した上で、どうやったらもっと良くなるかを考えている。
吉田茂が麻生に言って聞かせた言葉として「これからの日本はよくなる。必ずよくなる」というのが紹介されているのだが、この男は本気でそれを信じてるように見える。
否定姫のセリフじゃないが、こういう輩は本当に強い。
もちろん、麻生本人は別に強がりでもなんでもなく今の日本はまだまだいけると思ってるんだろうが、それにしたってニートや高齢化や周辺諸国が日本に追いつき、追い越しそうな状況まで含めて「全然問題ない。っていうかむしろいいことなんじゃね?」って考えられる、ってのは当たり前のようでいて凄いことだよな。
麻生本人の支持・不支持とかはともかく、こういう本を出せる政治家がいるってのは今の日本にとってはプラスだったんじゃないか、と思ったり。
反面、もし俺が革命勢力とかだったらこの手の政治家は下手な右翼なんかよりよっぽど強敵になりそうだよな・・・。
どんだけ革命起こそうとしても「んー、じゃあそこはこうするからそれでよくね?」とか言われて、それでもなお反発しようとするとむしろ周囲からこっちの方が白い目で見られる、みたいな。
革命勢力なんて大概はヒロイックな理想主義者だから、ポジティブな現実主義者に敵わないのは当然と言えば当然だが。
ちなみに個人的に一番驚きだったのは麻生太郎の年齢。
66歳だったんすか(汗)
戦前生まれやん。
本当、政治家の年齢は見た目からはさっぱりつかめん・・・。