かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

フォークソノミーはタクソノミーにとってかわらない


卒研着手発表の資料とか見てると、割と利用者によるタグ付与話がどの分野でも出ていることに気づいた。
いいよね、ソーシャル・タギング
min2-flyも日々はてなブックマークでのタグ検索はじめ、色々な形でソーシャル・タグのお世話になっております。


で、ソーシャル・タグとかそこら辺のフォークソノミー*1の話になると必ず「タグ付与者による語彙の揺れが問題」みたいに語られるんだが、本当に問題はそこかなあ。
実際、「はてなブックマーク」とか見てる限り語彙の揺れはあんまり大きくない気がする。
「図書館」と「library」みたいな揺れは確かに存在するが、しかしタグの付与者が増える(ブクマ数が伸びる)に連れて皆が好き勝手にタグを付けるから、同義語とか類義語も全部含んでタグを振られることになって、システム上は負荷が増えるとか問題があるのかも知れんが、使っている分にはまあだいたい大丈夫だろ、っていう感じになってはくる。
それでも漏れはあるからタグ「図書館」だけじゃなくてキーワード「図書館」なページも見るようにはしてるけどさ。
たいがいはタグ「図書館」なページ見てれば十分っすよ。


タグの揺れが問題じゃないとしてじゃあなにが問題かと言えば、フォークソノミーの性質上当たり前と言えば当たり前なんだが、「ユーザが興味持たないものは誰にも分類されない」ことだろ。
タクソノミーなら分類者はユーザの興味とか気にせずコンテンツを分類しなきゃいけないわけだが、ユーザ参加のフォークソノミーの場合ユーザが興味を持たないものはどこまでたっても分類されずほったらかしなわけで。
なにかを推薦するシステムとしてはそれでいいのかも知れないが、情報探索のツールとしてはそれはあんまりだよね。
むしろ人から注目されてないものこそ新しい発見があるかも知れないわけで、それが探せないと図書館情報学的な情報探索としては大問題だろ。


最初のタグ付与者はソーシャル・タグによる検索が使えない。
当たり前っちゃあとことん当り前のことだし、そういうシステムなんだからそれでいいんだが、まあそういう特性がある以上、フォークソノミーがタクソノミーに取って代わることはないよなあ。


・・・既存のwebページをタクソノミーで全部きちんと分類するのなんてほとんど不可能なので、その点ではフォークソノミーやっぱ超便利なわけだが・・・
「これはすごい」みたいなタクソノミーにありえない分類もできるしね。
何事も相互補完。
フォークソノミーはそこら辺中にたってるから、あとはタクソノミー系がんばってくれNDL〜。

*1:ユーザが自由にコンテンツにタグ振る分類法。これに対しNDCみたいにはじめから決められた分類をする方がタクソノミー