かたつむりは電子図書館の夢をみるか(はてなブログ版)

かつてはてなダイアリーで更新していた「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」ブログの、はてなブログ以降版だよ

「大学生・院生にとってのブログによる学術コミュニケーションの可能性」


というわけで、上のエントリでも話題に挙げたARGカフェでの、自分の発表原稿(スライド+読み原稿の入ったノート)を例によってMy Open Archiveにアップしました*1


読み上げた原稿も一言一句たがわず入れてあるはずなので内容についてはほぼ上述のファイルの通りですが・・・
基本的には

  • ブログ(等、インタラクティブなサービスを使った学術的な情報の発信)をしているとブログ上でのコミュニケーションが生まれて、他のブロガーやコメントしてくれる人とのやり取りで得られるものがあるし、オフ会など実際に会う機会も増える。
  • ただ、実際にはそれにとどまらず、コメントもしないしブログも持ってない多数の『読んでいるだけ』の人がいて、その中には教員など同じ分野の研究に関わる人も含まれている。
  • それら「読んでいるだけ」の人とはブログをやっていたり、web上での知り合いでのオフ会に参加しているだけではコミュニケーションが生まれないが、自分の方が「読んでいるだけ」の人が集まる機会(学会・研究会等)に(自分がブログ主であることをさらして)入っていくことで、やりとりできるようになる(たまにtwitterで自分も言っている「読んでます」から始まるコミュ)。
  • 特に学術的なコミュニケーションの相手が限られている学部生・院生にとっては、そういう方法で研究室や研究科の外の研究者とやりとりすることで、いわゆる(学術情報流通における)「インフォーマル・コミュニケーション」のチャンネルを早くから広げていけるんじゃないか(それは研究者を目指すのであれば重要なことである)
  • ただし以上は(現在は)図書館情報学だから成り立つモデルかも知れない。

最後の方で「ここでしている話は図書館情報学だから、ってのもあるかも」ということを言っていますが、これは細かく考えると実際には二つの意味があります。
第一に、図書館員のような、研究者ではないけれどもその分野の研究をする上で多大な貢献を果たす人材の層が存在すること。
これは医学にとっての医師や教育学にとっての教師、情報工学にとってのエンジニアとかもそれぞれ対応するかと思いますが、研究活動に貢献する「読者」足り得る層が広い、ってことでもある。
対して例えば高エネルギー物理学とか純粋数学みたいに、専門的な話をしすぎるとついてこれる人が研究者(それも少数の)に限られるようなところだと、「ブログでインフォーマル・コミュニケーションのチャンネルを広げよう」ってのはあまり当てはまらないかも・・・


第二に、その分野の研究者がwebで発信された情報に対して忌避感とかがないこと。
その点はもう、図書館情報学は早くからwebで情報発信をしてきた方々もいるし、そもそもそういう話題を扱うところであるので(特に自分がいる学術情報流通系は)その分やり易い、ってこともあるんだろう、と。
「インターネットなんか誰も見てないぜ!」って言うような分野じゃ厳しい。
これについては2次会でお話した政治学分野の方からも、「うちの分野じゃ・・・」という話があって再確認しました。
逆に情報工学コンピュータサイエンス)とか、もっとweb親和性の高い分野なら全然いけそうかも。



上記2点以外の話としては、これもライトニングトークを受けていただいたコメントの中で「インフォーマル・コミュニケーションって一緒くたにして扱っていいの?」というものがけっこう。
たぶんダメです(爆)
特に、ある程度完結してまだ雑誌等に投稿していない研究内容を内輪で発表したり、プレプリント等で配る場合の話と、研究の着想段階とか進めている最中に口頭などで行われるそれとを分けて話さないと混乱するだろう、と・・・ブログをきっかけにしたコミュニケーションはもちろんどっちにもなり得るとは思いますが、そこら辺はライトニングトークに向けた2週間くらいの準備ではなく、本格的に研究する必要があるかも知れません。


あとは実名/匿名の話とか炎上をどう考えるか、とか。
前者は本人が特定できないと意味がないんだけど、学生・院生があまり積極的に身元をばらすと変な人に寄ってこられないかもわからない危険はあるのでどうしたもんか、とか。
後者についてはむしろARGカフェにいらしていたその他の参加者の方にノウハウを伝授していただきたいところです。




・・・さて、それではそろそろ本職の研究に戻らにゃあ・・・(汗)

*1:なんかあんまり投稿者がいないので自分の原稿がトップページに増えすぎると申し訳ない気がしてくる・・・便利だからもっとみんな使ったらいいのに

*2:2008-07-13 18:00現在はまだ変換作業中とのこと。少々お待ち下さい

*3:2008-07-14 14:30現在、変換作業が終わって閲覧可能になっています。id:keitabandoさん、ありがとうございました